☆竹工芸に特化した展覧会*「線の造形、線の空間」@智美術館
古くから日本人にとって竹製品は、深く関わりがあり、親しみのある物でした
それ故、竹工芸=ざるというイメージが強いようで、生活用品としてではなく
1つの芸術として捉えて欲しいと、今回竹工芸に特化した展覧会が
虎ノ門にある、菊池寛実記念館・智美術館で開催される事になりました

(写真は全て、許可を得て撮っています)
線の造形、線の空間
飯塚琅玕齋と田辺竹雲斎でめぐる竹工芸
菊池寛実記念 智美術館
2018年4月14日~7月16日
今回は、大正、昭和期に東京で活躍した飯塚琅玕齋(いいづか・ろうかんさい) と
大阪を拠点とした初代田辺竹雲齋(たなべ・ちくうんさい)を中心に
琅玕齋の兄・二代飯塚鳳齋、琅玕齋の息子・飯塚小玕齋
そして二代竹雲斎、三代竹雲斎、四代竹雲斎の作品が展示されています
智美術館は、1階の受付を済ませ、螺旋階段を下りて地下に展示室があるのですが
そこで目を見張るものが・・・

約7mにも及ぶ、田辺竹雲齋(四代目)のインスタレーション
まるで大地のエネルギーを吸って、巨大化し、うねり、成長した根っこのような作品

この展覧会の為に、螺旋階段に足場を組み、お弟子さんと4人がかりで10日間で造ったものだそうです

細く削ったヒゴを編んで造られたものですが、虎竹という斑点のある竹が使われているとの事
無造作に造っている様で、螺旋を描くように編み込まれているのがわかります
大迫力の作品を観た後は、いよいよ本題に入ります

江戸末期から明治にかけて中国からもたらされた煎茶文化が興隆し
唐物の道具が珍重されると、籠師と呼ばれた職人たちが唐物を写した精緻な編みの竹籠を
制作するようになった、それが竹工芸の始まりと言われています

初代竹雲齋は、煎茶道流行の大阪・堺市で活動し、唐物に立脚した
精密で格調高い制作で名を馳せた人でした
やがて、「荒編み技法」などの独自の技法を追求し、唐物風を脱して、新たな竹工芸の作風を生み出したそうです
すす竹をざっくりと使用した荒編みの花籠は
取っ手の部分は竹の根の部分を生かし、太めの竹材の曲線と直線を上手く組み合わせて作られています

二代目竹雲齋は、竹の造形の面白さを表現した作品を多く残しています
「透かし編み」「荒編み」「抜き編み(ござ編み)」「千集編み」などの技法を駆使したものがたくさんあります

物凄く力強いものがあるかと思えば、反対にとても繊細なものもあって
1つの技法に囚われない作風は、とても興味深いですね


三代目竹雲齋の作風は、かなり個性的でした
初代、二代の制作を引き継ぎながらも、独自の作風を打ち出した人で
竹を割らずに丸竹のままを使い、直線と円形で面を構成した、重量感のあるものや
線を組み上げていく構築的なものがありました

四代目竹雲齋は、初代から三代までの作風を取り入れつつ、独自の作風を展開しています

強くて繊細な竹ヒゴを使用し、「あじろ編み」「ござ編み」「一目飛ばし編み」「透かし編み」などの
特に二代目の特徴を、強く引き継いでいらっしゃいますが
そこはやはり、何処かしら現代的で
私自身も二代目の作風が一番好みですね

飯塚琅玕齋は、伝統技術を独自に駆使した格調高い作品から
大胆で野趣のあるものまで、幅広い作風が特徴です
薄く割った竹を束ねて曲線を生み出す「束ね編み」や
色の異なる竹ヒゴで精密な文様を編みだす「刺し編み」など、1つの作風に囚われない作品が多くありました
特に面白かったのが上の写真の舟形の籠
これは1本の竹で作られています
持ち手部分は、竹をそのまま活かし、籠の部分になると幾つかに割って籠状に編み
最終的に持ち手に固定しているのです
なんて大胆な作品なんでしょう


琅玕齋の作品で、上の写真の左、「夕立」という作品
竹の皮を細かく裂き、節を巧みに配置した胴回りは、まるで激しく降りしきる雨の様に見えます

二代 飯塚鳳斎は、唐物を範としながら独自の造形を求める作風で
重厚感のある物が多いですね
更に飯塚小玕齋は、琅玕齋から継承した竹刺編を完成させ
束編、氷烈など技法を駆使した、独自の作風を生み出しています

私自身、こんなにじっくりと竹工芸を観た事が無く
こんなにもたくさんの技法があって、こんなにも感動的なものだと言う事を改めて知りました
今回この展覧会には、ブロガーイベントとして参加させて頂いたのですが
教えて頂いた中に、こんな知らない事がありました
よく竹工芸の隙間に、ちょっと埃っぽくなっているのを見かけると思いますが
あれは埃では無く、とのこと漆をミックスして錆付けという技法を施しているのだそうです
錆付けをする事で、網目が立体的になるとの事で、納得してしまいました
展覧会は、前期と後期に別れていて、全く違う作品に入れ替わるそうで
これはもう1度観に来なくてはなりませんね
前期は、6月3日まで
後期は、6月6日~7月16日まで
どうぞお見逃しなく
ランキングに参加しています。今日もワンクリックお願いします
それ故、竹工芸=ざるというイメージが強いようで、生活用品としてではなく
1つの芸術として捉えて欲しいと、今回竹工芸に特化した展覧会が
虎ノ門にある、菊池寛実記念館・智美術館で開催される事になりました

(写真は全て、許可を得て撮っています)
線の造形、線の空間
飯塚琅玕齋と田辺竹雲斎でめぐる竹工芸
菊池寛実記念 智美術館
2018年4月14日~7月16日
今回は、大正、昭和期に東京で活躍した飯塚琅玕齋(いいづか・ろうかんさい) と
大阪を拠点とした初代田辺竹雲齋(たなべ・ちくうんさい)を中心に
琅玕齋の兄・二代飯塚鳳齋、琅玕齋の息子・飯塚小玕齋
そして二代竹雲斎、三代竹雲斎、四代竹雲斎の作品が展示されています
智美術館は、1階の受付を済ませ、螺旋階段を下りて地下に展示室があるのですが
そこで目を見張るものが・・・

約7mにも及ぶ、田辺竹雲齋(四代目)のインスタレーション
まるで大地のエネルギーを吸って、巨大化し、うねり、成長した根っこのような作品


この展覧会の為に、螺旋階段に足場を組み、お弟子さんと4人がかりで10日間で造ったものだそうです

細く削ったヒゴを編んで造られたものですが、虎竹という斑点のある竹が使われているとの事
無造作に造っている様で、螺旋を描くように編み込まれているのがわかります
大迫力の作品を観た後は、いよいよ本題に入ります

江戸末期から明治にかけて中国からもたらされた煎茶文化が興隆し
唐物の道具が珍重されると、籠師と呼ばれた職人たちが唐物を写した精緻な編みの竹籠を
制作するようになった、それが竹工芸の始まりと言われています

初代竹雲齋は、煎茶道流行の大阪・堺市で活動し、唐物に立脚した
精密で格調高い制作で名を馳せた人でした
やがて、「荒編み技法」などの独自の技法を追求し、唐物風を脱して、新たな竹工芸の作風を生み出したそうです
すす竹をざっくりと使用した荒編みの花籠は
取っ手の部分は竹の根の部分を生かし、太めの竹材の曲線と直線を上手く組み合わせて作られています

二代目竹雲齋は、竹の造形の面白さを表現した作品を多く残しています
「透かし編み」「荒編み」「抜き編み(ござ編み)」「千集編み」などの技法を駆使したものがたくさんあります

物凄く力強いものがあるかと思えば、反対にとても繊細なものもあって
1つの技法に囚われない作風は、とても興味深いですね


三代目竹雲齋の作風は、かなり個性的でした
初代、二代の制作を引き継ぎながらも、独自の作風を打ち出した人で
竹を割らずに丸竹のままを使い、直線と円形で面を構成した、重量感のあるものや
線を組み上げていく構築的なものがありました

四代目竹雲齋は、初代から三代までの作風を取り入れつつ、独自の作風を展開しています

強くて繊細な竹ヒゴを使用し、「あじろ編み」「ござ編み」「一目飛ばし編み」「透かし編み」などの
特に二代目の特徴を、強く引き継いでいらっしゃいますが
そこはやはり、何処かしら現代的で
私自身も二代目の作風が一番好みですね


飯塚琅玕齋は、伝統技術を独自に駆使した格調高い作品から
大胆で野趣のあるものまで、幅広い作風が特徴です
薄く割った竹を束ねて曲線を生み出す「束ね編み」や
色の異なる竹ヒゴで精密な文様を編みだす「刺し編み」など、1つの作風に囚われない作品が多くありました
特に面白かったのが上の写真の舟形の籠
これは1本の竹で作られています
持ち手部分は、竹をそのまま活かし、籠の部分になると幾つかに割って籠状に編み
最終的に持ち手に固定しているのです
なんて大胆な作品なんでしょう



琅玕齋の作品で、上の写真の左、「夕立」という作品
竹の皮を細かく裂き、節を巧みに配置した胴回りは、まるで激しく降りしきる雨の様に見えます

二代 飯塚鳳斎は、唐物を範としながら独自の造形を求める作風で
重厚感のある物が多いですね
更に飯塚小玕齋は、琅玕齋から継承した竹刺編を完成させ
束編、氷烈など技法を駆使した、独自の作風を生み出しています

私自身、こんなにじっくりと竹工芸を観た事が無く
こんなにもたくさんの技法があって、こんなにも感動的なものだと言う事を改めて知りました
今回この展覧会には、ブロガーイベントとして参加させて頂いたのですが
教えて頂いた中に、こんな知らない事がありました
よく竹工芸の隙間に、ちょっと埃っぽくなっているのを見かけると思いますが
あれは埃では無く、とのこと漆をミックスして錆付けという技法を施しているのだそうです
錆付けをする事で、網目が立体的になるとの事で、納得してしまいました
展覧会は、前期と後期に別れていて、全く違う作品に入れ替わるそうで
これはもう1度観に来なくてはなりませんね

前期は、6月3日まで
後期は、6月6日~7月16日まで
どうぞお見逃しなく




スポンサーサイト